レノボとグーグルは7日(現地時間)、「CES 2016」の会場で「Project Tango」対応のスマートフォンを発表した。同製品は、2016年夏に北米を含む全世界で出荷される予定で、価格は500ドル(約5万9200円)以下になるという。Project Tango初となる商用端末で、一般のユーザーにも販売される。
レノボとグーグルが発売する予定の、「Project Tango」スマートフォン
レノボのVP、ジェフ・マーディス氏
なお、会見では実機の展示はなかったが、レノボのVP(バイスプレジデント)、ジェフ・マーディス氏によると、「スクリーンサイズは6.5インチ以下になる」という。型番などは明かされていないが、クアルコムのSnapdragonを搭載する予定としている。端末の正式名称も現時点では不明。発表時に披露されていた写真からは、レノボブランドの端末になることが予想される。マーディス氏は、「Googleとレノボ、そしてクアルコムの協力によってできた、本当にチャレンジングな取り組みだ」と語った。
会見ではCGが披露されたが、実機の展示はなかった
グーグルの、ジョニー・リー氏。マイクロソフトで、Kinnectの開発なども担当してきた人物だ
Project Tangoは、グーグルの先端テクノロジー開発部門が取り組んできたプロジェクト。「我々の周りにあるものを、スマートフォンがもっと知ることができる」(グーグル 開発責任者のジョニー・リー氏)技術となる。具体的には、モバイル端末に、深度センサーやRGB/IRセンサー、魚眼カメラを搭載。これらの情報を組み合わせることで、人間の目のように被写体を立体的に認識可能になる。3Dマップをリアルタイムに生成でき、距離の測定なども行える。
RBG/IRセンサー、深度センサー、魚眼カメラで被写体を三次元的に捉える
2014年6月には、開発キットとして7インチタブレットを提供。このタブレットはプロセッサーに、NVIDIAの「Tegra K1」を採用していた。レノボとグーグルの発表は、このProject Tangoを商用機に乗せるというもの。ハードウェアの製造は、レノボが担当する形となる。搭載するカメラ、センサーの一部や、大まかな画面サイズのみが会見で公開された。
開発者向けのタブレット端末
レノボが開発するのは、初のコンシューマー向け端末となる
画面に映った空間の距離を測定できる
会見では、Project Tangoを用いたデモも行われた。最初に披露されたのが、空間を立体的に認識して、その距離を測定するというもの。3Dで空間認識されているため、正確な数値を表示することができる。グーグルのストリートビューのような映像も作成可能だ。
画面に映った部屋の空間を立体的に捉えられるため、家具の配置もシミュレーションできるという。また、Project Tangoは、ゲームへの応用も視野に入れられている。デモンストレーションでは、タブレットの画面内に映る机の上にジェンガを出現させていた。
ストリートビューのような映像も作成可能
現実の空間にCGを正確に当てはめることができる
実際の空間とCGを重ね合わせたゲームも楽しめる。写真は、デモで披露されたジェンガで遊んでいるところ
石野 純也
関連リンク Project Tango(英文)https://www.google.com/atap/project-tango/ レノボhttp://www.lenovo.com/jp/ja/
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