ソニー、ソニーモバイルが、Xperiaをはじめとするモバイルの世界観を広げるアイテムとして提案しているのが、「スマートウェア」だ。昨年はコアとバンド部分を分離できる「SmartBand」や、Android Wear採用の「SmartWatch 3」、電子ペーパーを採用した「SmartBand Talk」を発売してきた。CESでは、こうした製品のアップデートを発表。その紹介や背景にある意図を、ソニーのUX戦略本部に務める近藤博仁氏が語った。近藤氏は、ソニーモバイルも兼務しており、グループ全体のスマートウェアを統括している。
ソニー UX・商品戦略・セールス&マーケティングプラットフォーム UX・商品戦略・セール&マーケティング本部 UX企画運営部門 UX企画部 プロダクトプランニングマネージャー 近藤博仁氏
Xperiaを中心に、その用途を拡大していくのがスマートウェアの役割。連携するアプリケーションとして、「Lifelogアプリ」を用意した
昨年スマートウェアの第一弾として発売したSmartBandについては、新展開として「いわゆるファッションブランドにバンド部分を作ってもらい、商品と合わせることした」。Jack Vartanian、ALTEWAISAOME、ROXYといったグローバルブランドがデザインしたバンドを発表した。SmartWatch 3に関しては、メタルバンドを発表。これに加えて、「SmartWatch 3 Holder」と呼ばれる製品も展開する。
SmartWatch 3 Holderは、幅24mmの腕時計用バンドを装着するために、コア部分に取るつけるホルダー。「SmartWatch 3はコアとバンド部分を分離できるが、コア部分の正確な(外観の)データがないと商品を作りづらい。コアの周りの枠だけを提供して、そこにいろいろなバンドをつけてもらう」という発想から生まれたものだ。
SmartBandは、さまざまなブランドとのコラボが始まった
SmartWatch 3は、メタルバンドを発売。Android Wearで唯一のGPS対応という特徴を生かしたアプリも、サードパーティから提供される
昨年、日本で発売した「スマートテニスセンサー」は、米国での展開が決定。これに合わせて、対応するラケットも大幅に拡大した。
スマートテニスセンサーは、米国での展開が決定
IFAでプロトタイプとして展示した単色表示の「SmartEyeglass」は、「今回もまだプロトタイプのまま」ながら、ゼンリンのマップや、「セカイフォン」のリアルタイム表示などに対応した。CESではこうしたアプリケーションを含めた展示を行っているが、これはソニーが公開したAPIを用いて開発されたものだという。
IFAで発表されたプロトタイプの「SmartEyeglass」
APIの公開は、SmartBandやSmartWatch 3などを接続するためのアプリである、「Lifelogアプリ」でも行われている。Lifelogアプリは、データを「スマートフォンの中に閉じ込めるのではなく、必ず一度クラウドに上げて、最終的な管理を行っている」といい、APIによって、外部アプリがそのデータを利用できるようになる。近藤氏によると、WitingsやIFTTTといった企業が、この仕組みの活用を検討しているそうだ。
LifelogアプリはWEB版をオープン。APIも公開した
こうしたAPIの情報や開発者ツールは、ソニーのWEBで公開されている
このように、ソニーのスマートウェアは、「ほかの商品以上にオープンにして、サードパーティの協力を得て商品を高めていこうというのがコンセプト」に据えられている。「ソニーだけでは得られないインダストリー、たとえばSmartEyeGlassを使ったB2Bの工場のオペレーションなどは、外部の知見を生かしたほうがいい」というのがその理由だ。ハードとソフトで性格は異なるが、バンド部分を各社が開発できるSmartBandやSmartWatch 3も、発想はこれに近い。オープン性を拡大し、外部との取り組みを強化したことが、CESでの発表の中心と言えるだろう。
ハードウェアについては、新たな2機種のプロトタイプが発表された。1つが、手持ちのメガネやゴーグルに接続できる「SmartEyeglass Attach!」。ソニーの開発したマイクロOLEDを採用しており、「重量が軽く、外でも明るい映像が表示できる」のが特徴だ。その象徴として、ソニーではスポーツでの活用を提案している。
メガネなどに装着できる「SmartEyeglass Attach!」
もう1つの新商品が、「Smart B-Trainer」。Bluetoothヘッドセットのような形状をした製品で、「ランニングをコーチすることに特化したデバイス」となる。本体右側のイヤーパッドに心拍数センサーを内蔵しており、「目標に対して心拍数が上がっていない、下がっていないときは、ボイスと音楽でフィードバックをかける」。スマートフォンから、トレーニングメニューを転送でき、ログも蓄積できる仕組みだ。
ランニング用のデバイスである「Smart B-Trainer」
2014年のCESではSmartBandだけだったスマートウェアの製品が、1年間でプロトタイプも含め、2015年のCESでは7機種に拡大。外部との連携も進んでいる。一方で、近藤氏は、「一般の方に刺さるユースケースが見つかっていないのは、まさに我々が苦労している点」と明かす。特に、用途の広い製品の場合は、どんなメリットがあるのかが、まだユーザーには明確に伝わっていない段階だ。これは、ソニーのスマートウェアに限らず、ウェアラブル全体の課題とも言えるだろう。
石野 純也
関連リンク ソニーhttp://www.sony.jp/
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